古代の宮殿美術 3
生物はティリンスなどのメガロンの床の文様と同じように図案の一単位でしかありません。
またキクラデスから伝わってきた水鳥にも一定の型ができて、翼や胴体には細い平行線が縞をひいています。
また当然のこととして幾何学文様も増してきます。
装飾と容器との関係もクレタから遠くなりました。
文様は容器の一部分にだけほどこされ、広い余白はそのままにするか、あるいは太い平行線で埋めています。
たとえば鐙壷では肩に、アラバストロンでは上面に、スキュフォスではパネル式(縦横線の枠内に。メトープ式ともいう)に動植物文が描かれています。
そして高杯(キュリックス)高さ約20センチ、キプロス島のイアリュッソス出土、前13世紀、大英博物館。
これはひどく抽象化されたイカです。
脚は4本しかなく、眼鏡のような眼をしています。
クレタ人がとりあげた生きたイカは全く捨てられて、もはや生物ではありません。
しかし左右対称の原理は堅く守られています。
これから進むと、脚は舞か角のようになり、巻貝はボーフラに似てしまいます。
このような陶器はいずれの形にあっても傑作や代表作をあげることはできません。
大量生産がおこなわれて品質に差別はありませんから・・・。
しかし技術上ではクレタよりもまた初期ミケネ時代よりも進歩しています。
陶土は精選されて純度の高い等質になり、焼きは硬くなります。