古代の宮殿美術 2
クレタ以来の装飾の充満した器面は孤高な装飾になりました。
前14世紀になると、クレタ文化は没落し前14世紀半から前13世紀はミケネ世界の最盛期にあたるから、手本を失ったミケネ陶器は自己の性格をあらわに出してきます。
形にも装飾にも一種の定型が確立してミケネ世界を支配するのです。
形ではアンフォラ、エフユラ式杯より浅くて脚の高い杯のキュリックス、ひしゃげた香油入れ型のアラバストロン、椀形の杯のスキュフォス、鐙壷、クラテールなどクレタ系であっても、流動感はうすれて安定します。
装飾の動植物の形式化は一層進んで定型化して固定します。
この固定化は創造力の減退ではあるけれども、また独自の美学にたいする自信でもあるから、一種の風格をもっています。
形も装飾もクレタ要素が完全にミケネ化されたともいえるでしょう。
動植物の種類は少なくなり、甚だしく簡略化されて、どの場合でも同じ図形になります。
雄蕊の大きな花の種類は判じにくいし、タコやイカの脚は8本のほかに時には10本また4本にも表わされ、常に必ず左右対称にひろげています。